【高校化学】日本が世界に誇った合成繊維「ビニロン」の特徴。大学入試ポイント

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「ビニロン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
化学が得意な高校生は「あー合成繊維のやつ!」と出てきますし、化学が苦手な高校生からは必ずこう返ってきます。

「ナイロンと違うん?ポリエステルとも違うん?何がすごいの?」

結論から言います。

ビニロンは、日本で実用化された“世界初の国産合成繊維”である。

そして、大学入試では毎年ではないが「高分子」「合成繊維」「モノマー → ポリマー」という出題の流れの中で、ナイロン・PETと並んで比較として出されやすいテーマの一つ。

特にコンテキストも時々増えてきている。

ビニロンとは何か?

→ 合成繊維の1つで、原料はポリビニルアルコール(PVA)

ビニロンは ポリビニルアルコール(PVA)をホルムアルデヒドでアセタール化させた繊維 のこと。

しっかり化学式の変換過程をおさえるのがポイント。

  • ビニロンの原料 → ポリビニルアルコール(PVA)
  • PVAの元 → 酢酸ビニル(CH₂=CH–OCOCH₃)を重合 → 加水分解

この「酢酸ビニル → PVA → ビニロン」への変化を流れで理解することが大切。

高校生の最大のつまずきポイント
「ビニロンはビニル系だけど、ビニルアルコールは存在しない(不安定)ので、酢酸ビニルから作る」という点。

ここを理解しておくと、大学入試の記述問題に強い。

ビニロンの特徴(大学入試で問われやすい)

特徴理由や出題ポイント
日本発祥の技術科学史・産業史で出ることもある
非常に強い・吸水性がある衣類だけでなく農業資材やDNAろ紙などでも利用
燃えにくい防炎性が高い

特に入試で狙われるのは
ビニルアルコールの重合体(PVA)からつくる点
これがナイロンやポリエステルと区別する大きな軸になる。

  • ナイロン:アミド結合
  • PET(ポリエステル):エステル結合
  • ビニロン:ビニル → PVA → アセタール結合

出題者は“この比較”をほぼ必ず意識している。

大学入試の例題

例題
酢酸ビニル(CH₂=CH–OCOCH₃)を出発原料として、ビニロンを製造する。
このときの反応過程を簡潔に説明せよ。

模範解答方向

  1. 酢酸ビニルを付加重合 → ポリ酢酸ビニル(PVAc)
  2. 加水分解して PVA(ポリビニルアルコール)を得る
  3. PVA をホルムアルデヒドなどと反応させアセタール化し、繊維状に加工したものをビニロンと呼ぶ

評価ポイント:

  • 「ビニルアルコールを直接重合させる」のはNG
  • PVAc → PVA → ビニロンの順が言えるか

みんなの声

  • 化学得意男子「ナイロンとPETまでは分かるけど、ビニロンを忘れてしまう」
  • 文系女子「日本で開発されたのに知らんかった!」
  • 進学校の先生「比較と反応経路で1問作るのは定番ですね」
  • 大学生(化学専攻)「ビニロンは “歴史” と “合成ルート” の両方を語れる数少ない教材。これを説明できる高校生は強い」

高校生は
“なぜ酢酸ビニルがスタートなのか?”
ここを言語で説明できたらもう合格ライン。

今日のまとめ(チェックシート)

確認事項できた?
ビニロンはPVAから作る
酢酸ビニルを重合 → PVAc → PVA
ビニルアルコールは直接重合できない
ナイロン・PETとの比較視点で覚えた
日本発の合成繊維という歴史性も意識

最後に

高校化学の「高分子」は、暗記で終わらせてしまえば一瞬だしテストでも取れる。
だけど、世界の科学史/日本の科学の誇りまで含めて理解できると、大学に入ってから化学が圧倒的に面白くなる。

そして大学入試で点になるところは、実はこういう「比較」と「理由説明」。

そこをこのビニロンの単元で“練習できる”のが最大メリット。

ビニロンは日本人化学者が本気で挑んだ「国産化学産業」の象徴。
合成繊維の勉強の中でも、化学史と科学応用の橋渡しになってくれるテーマです。

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