臭素(Br₂)の性質と反応:高校生が知っておくべきポイント

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臭素(Br₂)は周期表のハロゲン元素に属し、原子番号35の元素です。常温では赤褐色の液体であり、特有の刺激臭を持っています。

ハロゲンの中ではフッ素(F₂)や塩素(Cl₂)よりも反応性は低いですが、ヨウ素(I₂)よりは高い中程度の反応性を示します。

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性質

主な物理的性質は以下の通りです。

  • 状態:常温で液体(ハロゲンの中で液体なのは臭素のみ)
  • :赤褐色
  • におい:刺激臭あり
  • 水への溶解性:わずかに溶ける(臭素水として知られる)
  • 有機溶媒への溶解性:よく溶ける(四塩化炭素など)

また、臭素は揮発性があり、気化すると赤褐色の有毒な蒸気を発生します。そのため、取り扱いには十分な注意が必要です。

反応

臭素は化学的に比較的反応しやすい元素であり、以下のような反応を示します。

(1)酸化還元反応

臭素分子(Br₂)は電子を受け取ることで臭化物イオン(Br⁻)になりやすく、また電子を放出して臭素分子に戻ることもあります。この性質を利用して、酸化還元反応に関与します。

  • 酸化剤としての作用
    • 鉄(Fe)との反応:
      2Fe + 3Br₂ → 2FeBr₃
    • チオ硫酸ナトリウム(Na₂S₂O₃)との反応:
      Br₂ + 2S₂O₃²⁻ → 2Br⁻ + S₄O₆²⁻
  • 還元剤としての作用(酸化力の強い物質との反応):
    • 塩素(Cl₂)との反応:
      Cl₂ + 2Br⁻ → 2Cl⁻ + Br₂
      → より強い酸化力を持つ塩素によって臭化物イオン(Br⁻)が臭素分子(Br₂)に酸化される。

(2)ハロゲン化水素の生成

臭素は水素(H₂)と反応して、臭化水素(HBr)を生成します。

H₂ + Br₂ → 2HBr

臭化水素は水に溶けて強酸性を示し、さまざまな化学合成に利用されます。

(3)有機化合物との反応

臭素は有機化合物とも反応し、付加反応置換反応を示します。

  • 付加反応(二重結合や三重結合を持つ炭化水素と反応):
    • エチレン(C₂H₄)との反応:
      C₂H₄ + Br₂ → C₂H₄Br₂
      → 二重結合が開いて1,2-ジブロモエタンが生成。
  • 置換反応(アルカンと反応して水素原子が臭素に置き換わる):
    • メタン(CH₄)との反応(光照射):
      CH₄ + Br₂ → CH₃Br + HBr
      → メチルブロミドが生成。

高校生が知っておくべきポイント

高校の化学で扱われる範囲では、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

  1. 臭素の常温での状態と色を覚える
    • 「常温で液体のハロゲンは臭素だけ」と覚えておくと便利。
  2. 酸化還元反応での振る舞い
    • 臭素は酸化剤にも還元剤にもなれる。
    • ハロゲンの酸化力の強さ(F₂ > Cl₂ > Br₂ > I₂)を理解する。
  3. 有機化合物との反応を理解する
    • 二重結合や三重結合を持つ炭化水素とは付加反応。
    • アルカンとは置換反応(光が必要)。
  4. 安全な取り扱いに注意する
    • 臭素は有毒であり、皮膚に触れると炎症を引き起こす。
    • 揮発性が高く、蒸気は刺激臭があり有害。
    • 取り扱う際は換気を良くし、手袋や保護メガネを着用する。

臭素は日常生活ではあまり見かけないものの、化学の分野では重要な役割を持つ元素です。高校化学の試験にもよく登場するため、しっかり理解しておきましょう!

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