通信と金融が融合する時代──ドコモ経済圏戦略、住信SBIネット銀行を買収

※ 本ページはプロモーションが含まれています。

2025年5月、通信業界に大きなニュースが飛び込んできました。

NTTドコモが住信SBIネット銀行を買収し、完全子会社化すると報じられたのです。この一報は、単なるM&Aにとどまらず、「通信×金融」という時代の大きなうねりを象徴しています。

実はこの動き、ドコモだけの話ではありません。au(KDDI)は「auじぶん銀行」を持ち、ソフトバンクも「PayPay銀行」を擁しています。通信各社が自らの金融機関を持ち、「経済圏=生活圏」の囲い込みを加速しているのです。

この記事では、このような通信・金融融合の背景と、それが私たちの暮らしにどう関わってくるのか。さらに「どの経済圏に入るべきか?」という視点で、各社の戦略と特徴を掘り下げてみましょう。


そもそも「経済圏」とは何か?

「経済圏」とは、ある企業グループが提供する一連のサービスの中で、消費者が生活の大部分を完結できる仕組みのことを指します。

たとえば、以下のような行動を一社グループ内で済ませることが可能になります。

  • スマホはドコモ
  • 銀行口座はドコモグループのネット銀行
  • クレジットカードもグループ会社のもの
  • ポイントも共通(例:dポイント)

このように、生活の中の「決済」「通信」「買い物」「貯蓄・投資」をグループ内に閉じ込めることで、企業はユーザーを長期的に囲い込むことができます。これが「経済圏」の本質です。


ドコモ × 住信SBIネット銀行:何が起きる?

今回のドコモによる住信SBIネット銀行の買収は、「本気で金融に乗り出す」という意思表示です。

住信SBIネット銀行は、ネット銀行としての信頼性やインターフェース、住宅ローンの低金利などで高い評価を得ており、すでに多くのユーザーがいます。

ドコモはこれまで、d払い、dカード、dポイントといった「決済系」には強みがありましたが、「預金・融資」の領域ではやや弱かった。そこに住信SBIを取り込むことで、金融の核を手に入れた形です。

今後予想されるのは、

  • dアカウントと銀行口座の連携
  • ドコモ回線契約者への優遇金利
  • dポイント還元率の強化(口座引き落としやローン契約者に対して)

こうした施策によって、「通信と金融が一体になった経済圏」が本格的に始動します。


au(KDDI)× auじぶん銀行:住宅ローンで35年囲い込む戦略

一方、auはすでにこの動きを先行していました。KDDIと三菱UFJ銀行が共同で設立したauじぶん銀行がその中心です。

特に注目されるのが、住宅ローンとの連携です。

  • auじぶん銀行の住宅ローンは、ネット完結で手続きがスムーズ
  • 金利も業界最低水準の0.3%台(変動金利)
  • 「auユーザー優遇」施策で、ローン契約者に対しスマホ料金の割引などがあるケースも

つまり、住宅ローンを組むタイミングで「au回線+じぶん銀行口座+ローン契約」という構図ができあがり、その関係は最長35年続くのです。

これは通信業界において「もっとも長期的な囲い込み戦略」ともいえるでしょう。35年という年月の中で、他の金融商品(投資信託、外貨預金、保険など)へ展開する土台にもなります。


ソフトバンク・PayPay経済圏:若年層と中小商業者を巻き込む柔軟戦略

ソフトバンクグループは、PayPayという圧倒的な決済ツールを軸に経済圏を広げてきました。

  • スマホはSoftBank/Y!mobile/LINEMO
  • 銀行はPayPay銀行
  • 証券はPayPay証券
  • 決済はPayPay
  • ポイントはPayPayポイント(旧Tポイント)

特徴的なのは、通信以外から入ってくる層を囲い込む設計です。

たとえば、スマホはdocomoやauでも、PayPayだけは使っているという人は非常に多い。そこからPayPayカード、PayPay銀行へと誘導する形です。

また、中小の実店舗にも積極的に導入されており、「街のPayPay経済圏」も根強く広がっています。

この「柔軟な入り口の多さ」が、ソフトバンクグループの強みです。


私たちはどの経済圏を選ぶべきか?

では、ユーザー目線で「どの経済圏を選ぶべきか」を考えてみましょう。

✅ ドコモ経済圏(dポイントユーザー向け)

  • 安定性、信頼性のあるサービスを好む人向け
  • SBI住信を軸に、資産形成や住宅ローンも視野に入れる人に
  • ポイント活用(dポイントクラブ)も充実している

✅ au経済圏(長期的な住宅ローンと相性)

  • すでにau回線利用中、または住宅購入予定の人に最適
  • 住宅ローン金利の低さは業界屈指
  • au PAYマーケットやPontaポイントの活用も可能

✅ ソフトバンク経済圏(柔軟で身近な決済中心)

  • PayPayを日常的に使っている人向け
  • クレジットカードや少額投資も始めたい若年層
  • 通信契約がなくても参加しやすいオープン性

経済圏は「信頼できる生活の基盤」

かつては、通信会社の選択は「料金」と「電波状況」でした。

しかし今や、「銀行口座」「ローン」「ポイント」「決済」までが一本につながっており、もはや通信会社を選ぶ=生活インフラ全体を誰に任せるかという問いに近づいています。

一度その経済圏に入れば、手続きはスムーズで、特典も重なり、生活は便利になります。その代わり、「離れにくさ」も増します。

だからこそ、重要なのは「どこが自分に合っているか」を見極めることです。

  • 住宅購入を考えている人なら、auじぶん銀行の金利や特典を調べてみる。
  • dカードとdポイントの相性が良いなら、ドコモ+住信SBIの組み合わせが魅力。
  • とにかく身軽に便利な決済を使いたいなら、PayPay中心でも良い。

2020年代後半、通信と金融はもはや不可分な関係となりました。

「どのスマホを使うか」は、「どの生活圏で生きていくか」を選ぶ時代。

そんな現実を、今一度、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

【筆者おすすめ】25000mAhの超大容量バッテリー:MacBook Airを約1回、iPhone 16を4回以上充電可能です。外出時でも充電切れの心配がありません。

     
  • X