エルニーニョが起こると日本はどう変わる?暖冬・台風・農業への影響まとめ

NASA より

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最近よく耳にする「エルニーニョ現象」。

南米ペルー沖〜中央太平洋で海面水温が平年より高くなる現象ですが、遠く離れた日本の天気にも影響を及ぼします。

本記事では、仕組み、日本で起きやすい気象変化、実生活への影響(農業・雪・台風など)を、専門用語をできるだけ噛みくだいて説明します。

1)エルニーニョって何?仕組みを短く

エルニーニョは、太平洋赤道域の海面水温(SST: Sea Surface Temperature)が「長期間にわたり平年より高くなる」現象です。

常は東風(貿易風)が西向きに吹き、太平洋西側に暖水がたまりますが、貿易風が弱まったり向きが変わると暖水が東に広がり、ペルー沖など東側の海が温まります。これが上層大気の流れを変え、世界の降雨パターンや気温の偏りを生みます。

(逆に海面水温が低くなる現象が「ラニーニャ」です。こちらも世界の気候に別の影響を与えます。)

2)世界的な“遠隔効果” — どうして離れた日本に影響が出るのか

海面が温まるとその上の大気も活発になり、降雨や上昇気流が変化します。

これによって「大気の波(テレコネクション)」が太平洋を越えて伝わり、日本付近の季節風や偏西風、ジェット気流、さらには太平洋日本海側の気圧配置に影響します。端的に言えば、太平洋赤道域の変化が遠く離れた地域の天候パターンを“押し広げる”のです。

3)日本ではどんな影響が出やすいのか(典型パターン)

気候に関しては年ごとのばらつきが大きく「必ずこうなる」と断言はできませんが、歴史的観測から以下の傾向が知られています。

  • 冬は暖かくなる傾向:エルニーニョ年は日本全体で冬の気温が高めになりやすい(暖冬)。実際に最近の顕著な暖冬はエルニーニョの影響が指摘されています。
  • 降雪量の地域差:日本海側や北日本(北海道)では雪が例年より少ない年が多い一方、局地的に大雪になるケースもあるため一概には言えません。西日本の平地は雪が減る傾向を見せることが多いです。
  • 夏は冷夏になりやすいが例外も:エルニーニョ年の夏は東アジアで湿潤になったり、北日本がやや冷える傾向があるとの研究報告があります(ただし年による)。
  • 台風(熱帯低気圧)の発生や進路に影響:発生数や勢力、日本への接近の仕方が変わる可能性があります。研究によってはエルニーニョ年に進路が変わりやすく、日本での被害リスクが変化することを示すものがあります(詳細は年とタイプによる)。

これらは「確率が上がる/下がる」話であり、実際の年ごとの天気は他の要因(偏西風の位置、インド洋ダイポールなど)との組合せで決まる点に注意してください。

4)ラニーニャ(反対)のときはどうなる?

ラニーニャは赤道太平洋が平年より冷える現象で、エルニーニョとは逆の影響を与えることが多いです。

日本では冬が厳しく寒く、寒波や大雪が強まる年がある一方、夏の暑さが強まるなど別の傾向が出ます。エルニーニャは農業や水資源管理の面でエルニーニョとは逆方向のリスクを与えるため、長期予報での見極めが重要です。

5)生活への具体的な影響(農業・雪・レジャー・漁業)

  • 農業:暖冬・乾燥が続くと作物の休眠や降雨不足に影響。逆に一部地域で豪雨が増えれば冠水や作物被害が増える。気象庁や地方自治体の長期予報を見て作付けや灌漑計画を調整する農家が増えています。
  • 冬のスキー産業:平地や低標高のスキー場では雪不足で営業に苦労するケースがあり、スノーリゾートや冬観光の経済に直接響きます(実際に2023–24シーズンの暖冬で懸念が出ました)。
  • 漁業・海の変化:沿岸の海水温上昇は魚の回遊パターンを変え、漁獲量や漁場に影響を与えることがあります。近年、日本近海の海面温が高くなったことを指摘する観測もあります。
  • 台風や集中豪雨のリスク管理:エルニーニョの影響で台風の進路や発生時期が変わると、自治体や企業は防災計画を見直す必要が出ます。

6)「結局、どう備えるべき?」実務的アドバイス

  1. 長期予報(JMA)を注視する:季節予報で「エルニーニョ」「ラニーニャ」傾向が出れば、農業や観光、漁業は事前準備が可能です。
  2. 水管理・災害対策の強化:暖冬→渇水、あるいは局地豪雨→浸水と両面の備えが必要。自治体の防災情報を活用しましょう。
  3. 地域別のリスク把握:北海道と西日本では影響の出方が違います。地域ごとの傾向を確認して対策を立てること。

7)みんなの声

  • 「今年の冬、雪が少なくてスキー場が心配。経営にも影響出るよね…」 — スキー・観光業界の懸念。
  • 「海が暖かく感じる。魚の種類や来る場所が変わった気がする」 — 漁師や沿岸住民の実感。
  • 「ニュースで『エルニーニョの影響』って言うけど、結局は“今年だけ”の話なの?」 — 一般の人の疑問。
    答え:ENSOは確率を変えるだけで、年ごとの実際の天気は他の要因と複雑に絡みます。だから「警戒して準備する」姿勢が大事。

まとめ

エルニーニョは遠い太平洋で起きる現象ですが、日本の冬の暖かさ、雪の量、夏の暑さや台風の出方に影響を与える確率を高めます。

重要なのは「絶対こうなる」と思い込まず、気象庁などの季節予報を日々チェックして、地域や産業ごとのリスクに応じた対策を取ることです。近年の極端気象は地球温暖化の影響も絡んでいるため、長期的な視点での備えも必要になっています。

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