ホウ酸(H₃BO₃)の性質と反応:高校生が知っておくべきポイント

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性質
ホウ酸(H₃BO₃)はホウ素(B)を含む弱酸で、無色の結晶または白色の粉末として存在します。以下のような性質を持っています。
- 化学式:H₃BO₃
- 外観:白色の結晶または粉末
- 水溶性:水に溶けやすく、弱い酸性を示す
- pH:約5(1%水溶液)
- 融点:約170℃(加熱すると水を失い、メタホウ酸 B₂O₃ を生成)
- 毒性:比較的低いが、大量摂取は危険
ホウ酸は水溶液中で完全に電離するわけではなく、以下の平衡反応により弱い酸性を示します。
H₃BO₃ + H₂O ⇄ B(OH)₄⁻ + H⁺
このように、ホウ酸はプロトンを放出するのではなく、水と反応して水酸化ホウ酸イオン(B(OH)₄⁻)を生成することで酸性を示します。
反応
(1) 熱分解
ホウ酸を加熱すると、次のような段階的な脱水反応を経てホウ酸化合物が生成されます。
H₃BO₃ → HBO₂ + H₂O (100℃)
2 HBO₂ → B₂O₃ + H₂O (>300℃)
生成される B₂O₃ はガラスの原料やフラックスとして利用されます。
(2) アルカリとの反応
ホウ酸は塩基と反応してホウ酸塩を形成します。代表的な例として、ホウ酸ナトリウム(Na₂B₄O₇・10H₂O、ホウ砂)が挙げられます。
4 H₃BO₃ + 2 NaOH → Na₂B₄O₇ + 7 H₂O
ホウ砂はガラスや洗剤の原料として使用されるほか、炎色反応で黄緑色を示す特徴があります。
(3) 炎色反応
ホウ酸やホウ酸塩を炎の中に入れると、ホウ素特有の黄緑色の炎を示します。これは、金属イオンの同定実験に利用されることがあります。

高校生が知っておくべきポイント
- ホウ酸の酸性は「プロトン供与」ではなく「錯イオン形成」によるもの
- 一般的な酸とは異なり、H₃BO₃は水分子と反応して B(OH)₄⁻ を生成することで酸性を示す。
- 熱分解によりメタホウ酸(HBO₂)や酸化ホウ素(B₂O₃)を生成する
- これらはガラスやセラミックの製造に利用される。
- ホウ酸はアルカリと反応してホウ酸塩を形成する
- 代表的な例としてホウ砂(Na₂B₄O₇・10H₂O)があり、ガラスの製造や実験に使われる。
- 炎色反応で黄緑色を示す
- ホウ酸やホウ酸塩を炎に入れると黄緑色になるため、実験で利用されることがある。
- 日常生活での利用
- ホウ酸は防腐剤や殺虫剤として利用されるが、適切な取り扱いが必要。
ホウ酸の性質や反応を理解することで、実験や日常生活のさまざまな場面で活用できるでしょう。
