リン酸(H₃PO₄)の性質と反応:高校生が知っておくべきポイント

※ 本ページはプロモーションが含まれています。
性質
リン酸(H₃PO₄)は無色・無臭の結晶性固体または粘性のある液体として存在し、水に非常によく溶ける酸性物質です。以下のような特徴があります。
- 酸の強さ:リン酸は中程度の強さの酸で、硫酸や塩酸ほど強くありませんが、酢酸よりは強い。
- 三価の酸:リン酸分子は3つの水素イオン(H⁺)を放出することができ、段階的に電離します。
- H₃PO₄ ⇄ H⁺ + H₂PO₄⁻(第一段階)
- H₂PO₄⁻ ⇄ H⁺ + HPO₄²⁻(第二段階)
- HPO₄²⁻ ⇄ H⁺ + PO₄³⁻(第三段階)
- 弱酸性:リン酸水溶液は酸性ですが、すべての水素が完全に電離するわけではないため、強酸ほどの強い酸性を示しません。
- 潮解性:空気中の水分を吸収しやすく、湿気の多い環境では液体状になります。
- 生体内での役割:リン酸はDNAやATP(アデノシン三リン酸)など、生体のエネルギー代謝や遺伝情報の維持に関与しています。
反応
リン酸は多くの化学反応に関与し、特に中和反応や塩の生成が重要です。
中和反応
リン酸は塩基と反応して中和され、リン酸塩を形成します。
- ナトリウムとの反応
- H₃PO₄ + NaOH → NaH₂PO₄ + H₂O(リン酸二水素ナトリウム)
- NaH₂PO₄ + NaOH → Na₂HPO₄ + H₂O(リン酸水素ナトリウム)
- Na₂HPO₄ + NaOH → Na₃PO₄ + H₂O(リン酸ナトリウム)
このように、NaOHの量によって異なるリン酸塩ができます。
金属との反応
リン酸はカルシウムや鉄、アルミニウムなどの金属と反応し、不溶性のリン酸塩を形成します。
- リン酸カルシウム(Ca₃(PO₄)₂)は、骨や歯の主成分であり、肥料にも利用されます。
- リン酸鉄(FePO₄)は、耐食性のコーティング材として使用されることがあります。
加熱による脱水反応
リン酸を加熱すると脱水反応を起こし、より縮合したリン酸化合物を生成します。
- 200℃付近では ピロリン酸(H₄P₂O₇) が生成
- 300℃以上では メタリン酸(HPO₃) が生成
これらのリン酸化合物は食品添加物や工業用途で利用されます。
高校生が知っておくべきポイント
- 酸の強さと電離の段階
- リン酸は三段階で電離するが、すべてのH⁺が完全に解離するわけではない。
- 硫酸や塩酸ほどの強い酸ではないが、酢酸よりは強い。
- リン酸塩の種類と用途
- ナトリウムやカルシウムと反応し、さまざまなリン酸塩を作る。
- リン酸カルシウムは歯や骨の成分、リン酸ナトリウムは食品添加物として利用される。
- 生体内での重要性
- ATPやDNAの構成要素として、生命活動に欠かせない。
- 生体のエネルギー代謝において中心的な役割を果たす。
- 工業的利用
- 肥料(過リン酸石灰)、食品添加物(pH調整剤)、防錆剤などに応用される。
- 加熱により異なる種類のリン酸化合物が得られる。
- 安全性と取り扱い
- 強酸ほど危険ではないが、濃いリン酸は皮膚や粘膜を刺激するため、取り扱いには注意が必要。
- 実験で使用する際は、ゴーグルや手袋を着用し、希釈するときは「酸を水に加える」のが鉄則。
まとめ
リン酸は中程度の強さの酸であり、三段階で電離する特性を持っています。さまざまなリン酸塩を形成し、工業的にも生体内でも重要な役割を果たします。高校化学では、中和反応や金属との反応、ATPとの関連などをしっかり理解しておくとよいでしょう。
・前に進めない「停滞」こそが悩みの本質
・脳科学的にも「言葉」には不安を鎮める効果がある
分かりやすい!是非、手にとって読んでみてください。
リンク