【暴露】まだ偏差値で人の価値、測ってるんですか？ 元塾講師が30年かけて気づいた「学歴至上主義」という呪いの正体

「〇〇大学だから優秀」「あの大学出身じゃ、大したことないな」

私たちの社会には、まるで空気のように「大学の偏差値」という一つのものさしが存在します。このものさしで人を測り、序列をつけ、時には自分の価値さえも決めてしまう。あなたも、そんな風潮に息苦しさを感じたことはありませんか？

こんにちは。都内の大学を卒業後、長年、教育の現場に身を置いてきたブロガーです。特に塾講師として働いていた時代、私はこの「偏差値という名の亡霊」に憑りつかれた人々を数多く見てきました。そして何を隠そう、私自身もその一人でした。

今日は、私が30年という歳月をかけてたどり着いた、この「偏差値至上主義」という呪いの正体と、そこから自由になるための方法について、徹底的に語りたいと思います。この記事を読み終える頃には、あなたの心にかかっていたモヤが晴れ、もっと軽やかに、自分らしく生きるためのヒントが見つかるはずです。

第1章：私が目撃した「偏差値ゲーム」の王様

話は、私がまだ20代で塾講師をしていた頃に遡ります。私が勤めていた塾の経営者は、典型的な「自分が一番でなければ気が済まない」タイプの人物でした。彼はいつも自分の学歴や成功体験を誇らしげに語り、まるで自分が世界の中心であるかのように振る舞っていました。

彼が講師たちを評価する基準は、極めてシンプルでした。それは「どの大学を出ているか」。高偏差値の大学出身者は手放しで褒め称え、そうでない講師にはどこか見下したような態度を取る。生徒の価値も、模試の成績や志望校のランクで決めているのが手に取るように分かりました。

最初は「まあ、塾の経営者にはこういう人もいるよな」と軽く考えていました。しかし、彼の言動を日々観察するうちに、私は恐ろしい事実に気づいたのです。彼は、「学校の成績」と「人間の価値」を、本気でイコールだと信じ込んでいるのだ、と。

社会が学歴を評価する側面があるのは事実です。しかし、彼の思考はもっと根深い。彼にとって人生とは、大学入試という「学校教科の得点ゲーム」の延長線上にあり、そのゲームの勝者が、人間としても勝者であるという揺るぎない信念があったのです。

この「得点ゲーム」は、ルールが明確で、結果が偏差値や合格通知という分かりやすい形で示されます。だからこそ、多くの人がこのゲームに熱中し、その結果を絶対的なものだと錯覚してしまう。

頭が良いことは、素晴らしい能力です。しかし、ペーパーテストで高得点を取る能力が、そのまま「人間としての価値」に直結するのでしょうか？ 私は30年間、この問いを自問自答し続け、そして今、断言できます。

その考え方は、根本的に、そして科学的に間違っている、と。

第2章：なぜ私たちは「偏差値」という呪いにかかるのか？

では、なぜこれほど多くの人が、この間違った価値観に囚われてしまうのでしょうか。そこには、人間の心理と社会構造が複雑に絡み合った、いくつかの理由があります。

1. 「分かりやすさ」という魔力
人間の価値は、本来、多面的で複雑なものです。優しさ、誠実さ、創造性、忍耐力、ユーモアのセンス…。これらを客観的に数値化するのは不可能です。
一方、偏差値はどうでしょう。50を基準に、自分の立ち位置が一目でわかる。こんなに「分かりやすい」指標はありません。複雑なものを単純化して理解したいという人間の脳の性質にとって、偏差値は非常に魅力的なツールなのです。この「分かりやすさ」が、思考停止を招き、「偏差値が高い＝偉い」という短絡的な結論に私たちを導きます。

2. 社会が作り上げた「学歴神話」
日本の高度経済成長期、企業は限られた情報の中で効率的に優秀な人材を採用する必要がありました。その際、出身大学は「真面目に努力できる」「基礎学力が高い」という能力を保証する便利なシグナルとして機能しました。良い大学に入れば、良い会社に入れて、安定した人生が送れる。この「学歴神話」は、親から子へ、社会全体へと刷り込まれていきました。

しかし、時代は変わりました。終身雇用は崩壊し、変化の激しいVUCAの時代に突入した今、過去の成功モデルはもはや通用しません。それでもなお、多くの人々が古い「神話」を信じ続けているのが現状です。

3. 「みんなの声」が作る見えない牢獄
この呪いをさらに強力にしているのが、「みんなの声」です。

【Aさん・28歳・商社】「正直、飲み会で出身大学の話になると、今でも少し身構えてしまいます。MARCHレベルだと、良くも悪くも…みたいな空気になるのが辛い。自分では頑張ったつもりなのに、上には上がいるという現実を突きつけられて、勝手に劣等感を抱いてしまうんです。」

【Bさん・45歳・主婦】「子どもの塾選びで、ママ友の間では『〇〇中学の合格実績』がすべて。子どもの個性や幸せより、偏差値の高い学校に入れることが親の価値みたいになっていて、本当にこれでいいのかと悩んでいます。」

【Cさん・22歳・就活生】「東大生です。でも、それだけで『すごいね』『何でもできるでしょ』と過剰に期待されるのがプレッシャーです。『東大生のくせにこんなこともできないのか』と思われるのが怖くて、失敗を恐れて何もできなくなりそうです。」

高学歴の人は期待というプレッシャーに苦しみ、そうでない人は学歴コンプレックスに苛まれる。立場は違えど、誰もが「偏差値」という見えない牢獄に囚われ、不自由になっているのです。

第3章：「偏差値＝人間の価値」が科学的に間違っている決定的証拠

「感情論は分かったけど、高学歴の人が優秀なのは事実じゃないか」
そう反論したくなる気持ちも分かります。しかし、「偏差値で測れる能力」は、人間が持つ知性のほんの一部に過ぎないことが、科学的に証明されています。

証拠①：ハーバード大学が提唱する「多重知能理論」
ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナー教授は、「知能は一つではない」と提唱しました。彼によれば、人間には少なくとも8つの異なる知能が存在すると言います。

1. 言語的知能（話す、書く能力）
2. 論理数学的知能（計算、論理的思考の能力）
3. 音楽的知能（リズム、音程を感じ取る能力）
4. 身体運動的知能（体を巧みに使う能力）
5. 空間的知能（図形や空間を認識する能力）
6. 対人的知能（他者の感情を理解し、コミュニケーションする能力）
7. 内省的知能（自分自身を理解し、コントロールする能力）
8. 博物的知能（自然や環境を認識し、分類する能力）

日本の大学入試で主に測られているのは、このうちの「言語的知能」と「論理数学的知能」、そして一部の「空間的知能」に過ぎません。

サッカー選手の卓越した身体能力、アーティストの豊かな表現力、起業家の卓越した対人交渉力、カウンセラーの深い共感力。これらはすべて、偏差値では測れない、しかし社会にとって不可欠な「知能」です。偏差値というたった2～3種類の能力だけで人の優劣を決めることが、いかに視野の狭いことか、お分かりいただけるでしょう。

証拠②：AI時代に本当に必要な「非認知能力」
さらに近年、学力テストでは測れない「非認知能力」の重要性が世界的に注目されています。これは、目標に向かって努力し続ける力（グリット）、自制心、社会性、回復力（レジリエンス）といった「心の能力」を指します。

記憶力や計算力といった認知能力の多くは、いずれAIに代替されると言われています。そんな時代に人間にとって本当に重要になるのは、複雑な問題に対してチームで協力し、失敗を乗り越えながら新しい価値を創造していく力、すなわち「非認知能力」です。

企業の採用現場でも、この変化は顕著です。

【Dさん・38歳・IT企業人事】「正直、もはや出身大学だけで採用を決めることはありません。いわゆる“学歴フィルター”は、大量の応募者を捌くための初期段階のスクリーニングでしかなく、最終的に重視するのは、地頭の良さ、コミュニケーション能力、そして未知の課題に対する学習意欲です。高学歴でも指示待ちの人より、学歴はそこそこでも自分で考えて行動できる人の方が、入社後の活躍は目覚ましいですね。」

偏差値の高い人は、ルールが明確なゲームで高得点を取る訓練を積んできた人です。しかし、これからの社会は、ルールのない、あるいはルール自体を自分たちで作っていくゲームです。その時、古い攻略本である「偏差値」は、もはや何の役にも立たないのです。

第4章：「偏差値」というOSを書き換えよう

では、私たちはどうすればこの「偏差値」という呪いから解放されるのでしょうか。それは、パソコンの古いOSを最新版にアップデートするようなものです。ここでは、あなたの思考OSを書き換えるための3つの具体的なステップを提案します。

ステップ1：自分だけの「価値のポートフォリオ」を作る
まず、あなたという人間の価値を偏差値だけで評価するのをやめましょう。紙とペンを用意して、あなたの「価値」を書き出してみてください。

• 得意なこと： 料理、スポーツ、絵を描くこと、人の話を聞くこと…
• 好きなこと： 読書、映画鑑賞、旅行、誰かを笑わせること…
• 人から褒められた経験： 「優しいね」「君がいると場が和むよ」「仕事が丁寧だね」…
• 乗り越えた困難： 受験の失敗、失恋、仕事の挫折…

これらすべてが、偏差値では測れない、あなただけの「価値のポートフォリオ」です。学歴は、そのポートフォリオの中の、ほんの一つの項目に過ぎません。自分の価値を多角的に見ることで、「偏差値が低いから自分はダメだ」あるいは「偏差値が高いから自分は偉い」という一元的な思考から抜け出すことができます。

ステップ2：「越境」して、多様なものさしに触れる
同じコミュニティに長くいると、その中の価値観が世界のすべてだと思い込んでしまいます。意識的に、今の自分の居場所（コンフォートゾーン）から「越境」してみましょう。

• 普段会わないような年齢や職業の人が集まる社会人サークルに参加する
• ボランティア活動をしてみる
• 行ったことのない国へ旅をする
• 副業やプロボノで新しいスキルを身につける

全く異なる環境に身を置くと、世の中には驚くほど多様な「ものさし」で生きている人がいることに気づきます。年収や学歴ではなく、「どれだけ人を笑わせたか」「どれだけ美しい風景を見たか」を人生の豊かさの基準にしている人たち。彼らと触れ合う経験は、あなたの凝り固まった価値観を根底から揺さぶってくれるはずです。

ステップ3：他人の「評価」ではなく、自分の「物語」を生きる
最終的に、私たちは他人の評価をコントロールすることはできません。偏差値であなたを判断する人は、残念ながらいなくならないでしょう。

大切なのは、他人が作った「評価」の軸で生きるのではなく、自分自身が主人公となる「物語」を生きることです。

あなたの人生は、偏差値の高低で決まる短編小説ではありません。数々の挑戦と失敗、出会いと別れ、喜びと悲しみが織りなす、壮大な長編小説です。重要なのは、その物語をいかに自分らしく、誠実に、面白く紡いでいくかです。

「〇〇大学出身の私」ではなく、「〇〇に情熱を燃やし、〇〇で誰かを助け、〇〇という困難を乗り越えてきた私」として、自分を語れるようになりましょう。

おわりに：あなたの価値は、一枚の紙では測れない

30年前、塾の教室で「偏差値ゲームの王様」を見ていた私は、彼の価値観に嫌悪感を抱きながらも、心のどこかでそのゲームから降りることを恐れていました。偏差値という分かりやすいものさしを失うことが、自分の価値を見失うことにつながると思っていたからです。

しかし、長い時間をかけて、たくさんの人に出会い、学び、失敗して、ようやく気づきました。
人間の価値とは、偏差値や学歴といった静的なスペックシートで測れるものではありません。それは、どう生きるか、何を成し遂げようとするか、誰かをどれだけ大切にできるか、という動的なプロセスそのものに宿るのです。

この記事を読んでくださったあなたが、もし今、学歴のことで悩んでいるのなら、どうか思い出してください。
あなたの価値は、大学の合格通知や模試の結果という一枚の紙で測れるほど、薄っぺらいものではありません。

さあ、古いものさしは捨てて、あなただけの物語を始めましょう。その物語の面白さは、偏差値とは全く関係のないところで、決まるのです。