ひろゆき氏の予測（2024）は外れた？AI時代の「ゼロクリック検索」が変える情報探索の未来

今からおよそ1年前、ひろゆき氏は、Google検索がAIにシェアを奪われることはなく、「バカがAIに流れるだけだ」という趣旨の発言をしていました。

しかし、2025年6月現在の情報探索の状況を見ると、彼のこの見解は大きく変化してきていると言わざるを得ません。

強化されるAIの「Deep Search」能力

当時、ひろゆき氏が懸念していたAIの「根拠の不明瞭さ」という点は、AI技術の飛躍的な進化によって克服されつつあります。Googleは「AIモード」で「Deep Search」機能を展開し、これはユーザーの質問に対して数百もの検索をバックグラウンドで実行し、膨大な情報源から多角的に分析・統合する能力を持っています。その結果、数分で専門家レベルの、引用元を明記したレポートさえ生成できるようになりました。OpenAIのChatGPTも「deep research」機能を導入し、複雑なタスクのためにインターネット上の大量の情報を分析・統合することが可能です。

「ゼロクリック検索」が主流に

このようなAIの進化は、私たちの情報探索行動そのものを変えています。最も顕著な変化が、「ゼロクリック検索」の台頭です。これは、ユーザーが検索エンジンに質問を入力すると、AIが直接その場で回答を提供し、ユーザーがウェブサイトをクリックして詳細を確認する必要がなくなる現象を指します。

2024年12月の調査では、驚くべきことに約80%の消費者が、検索の40%以上で「ゼロクリック」の結果に依存していると報告されています。これにより、ウェブサイトへのオーガニックトラフィックは15%から25%減少したというデータもあり、Googleの「AI Overviews」もこのゼロクリック行動をさらに加速させています。

ひろゆき氏の見解が現在と乖離する点

ひろゆき氏は、AIが出す答えの根拠が不明瞭なため、賢いユーザーは引き続きGoogleのような検索エンジンを利用し、情報源の正確性を確認するだろうと考えていました。また、AIを信じる層が増えても全体に大きな影響はないと見ていました。

しかし、現在の状況を見ると、AIの「Deep Search」機能によって根拠を伴う情報提供が可能になったこと、そしてAIが直接回答を提供することで、ユーザーが自らクリックして情報を精査する手間が省かれるようになったことが、情報探索のあり方を大きく変えています。

もはや「バカがAIに流れるだけ」という単純な構図ではなく、より多くのユーザーが効率性を求めてAIによる直接回答、すなわち「ゼロクリック検索」を利用するようになっています。これは、ひろゆき氏が予測した以上に、検索エンジンの使用方法、ひいてはウェブサイトへのトラフィックに大きな変化をもたらしていると言えるでしょう。

情報探索の未来

もちろん、すべての情報がAIの回答で完結するわけではありませんし、特定分野の専門性や最新性、あるいは個人の深い洞察を求める際には、引き続きウェブサイトへのアクセスや多角的な情報収集が不可欠です。しかし、一般的な疑問や広範な情報収集においては、AIによる「ゼロクリック検索」が今後ますます主流となっていくことは間違いありません。

私たちの情報探索の未来は、AIの進化と共に、劇的に変わりつつあります。この変化にどう対応していくかが、これからの情報社会において重要な鍵となるでしょう。