乾電池(マンガン電池)の仕組み、高校生のポイント〜身近な電気の小さな発電所〜

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テレビのリモコン、懐中電灯、時計…。
私たちの生活に欠かせない「乾電池」。
見慣れたこの小さな筒の中では、目に見えない化学反応によって、電気が生み出されています。
今回は、高校化学でも学ぶ「乾電池の仕組み」について、やさしく解説します。
■ 乾電池とは?
乾電池とは、液体の代わりにペースト状の電解質を使った電池のことです。
もともと電池は「電解液(液体)」を使っていましたが、こぼれやすく、持ち運びに不便でした。
そこで、水分を吸わせて“乾いたように見える”構造に改良されたのが「乾電池」です。
乾電池は、「使い切りタイプの一次電池」に分類されます。
つまり、一度反応が終わると再充電はできません。
■ 乾電池の構造
一般的なマンガン乾電池(黒い外装のもの)の内部は次のようになっています。
- 負極(−):亜鉛(Zn)
- 正極(+):二酸化マンガン(MnO₂)
- 電解質:塩化アンモニウム(NH₄Cl)のペースト
外側の金属缶(亜鉛)がそのまま「負極」となっており、
中心には炭素棒が刺さっていて、これが「正極」とつながっています。
■ 電気が流れるしくみ
乾電池では、負極の亜鉛が電子を放出し、正極の二酸化マンガンがそれを受け取ることで電流が流れます。
【反応式】
負極(酸化反応):Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
正極(還元反応):2MnO₂ + 2NH₄⁺ + 2e⁻ → Mn₂O₃ + 2NH₃ + H₂O
全体の反応としては、亜鉛が溶けていくと同時に、マンガンが還元されて電気エネルギーが生まれます。
つまり、化学エネルギーを電気エネルギーに変える装置が乾電池なのです。
■ アルカリ乾電池との違い
アルカリ乾電池は、マンガン乾電池の改良版です。
- 電解質に「水酸化カリウム(KOH)」を使用
- 電極の反応効率が高く、長持ち
- 漏れにくく、ハイパワー
反応式は基本的に同じですが、より強力な反応を利用しており、リモコンからデジカメまで幅広く使われています。
■ 生活への応用
乾電池の原理は、さまざまなところで活かされています。
- 🔋 懐中電灯:電池の直列接続で電圧を上げ、電球を光らせる
- 🧸 おもちゃ・時計:小型モーターを動かす
- 🏠 非常時の電源:停電時にも電気を確保できる
また、乾電池の仕組みを理解すると、**電気を「化学的に作る」**という視点が身につきます。
これは電気化学やエネルギー変換を学ぶ上での第一歩です。
■ 大学入試でのポイント
- 酸化と還元の反応式を正確に書けること。
- 電流の流れる向き(電子は負極→正極)を理解する。
- 塩橋がない代わりに「電解質ペースト」でイオン移動を行う点をおさえる。
- 「アルカリ乾電池との違い」を問う問題も多い。
- 「電池の劣化」=亜鉛が溶けてなくなることも確認しておこう。
乾電池は、電池の中でも最も身近で、理解しやすい電池の基本形です。
■ みんなの声
💬「中を分解してみたら、黒い粉が出てきてびっくりした!」
💬「電池ってただの“電気の入れ物”じゃなくて、“化学反応装置”なんだと知って感動!」
💬「アルカリ乾電池のほうが長持ちする理由が、ちゃんと化学で説明できるのが面白い!」
■ まとめ:小さな電池の中に広がる化学の世界
乾電池は、誰もが使ったことのある電気の源。
しかし、その中では見えないところで、原子や電子たちがせわしく動き回り、電気を生み出しています。
この仕組みを理解すれば、「電気」と「化学」は別のものではなく、
ひとつのエネルギー変換のかたちであることが見えてきます。
次に乾電池を交換するとき、
「この中でどんな反応が起きているんだろう?」と少し想像してみてください。
それが、科学への第一歩かもしれません。



