「浸透圧」とは?高校化学のポイント~半透膜で水を引っ張る力

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「浸透圧(しんとうあつ)」という言葉、学校の生物や化学でよく出てくるけれど、抽象的でよく分からない…という高校生、多いです。
でもこれは、細胞の仕組み、点滴、スポーツドリンク、漬物、食品保存…あらゆる生活に深く関わる超重要な現象です。
浸透圧とは?
半透膜(※水だけ通す膜)で仕切られた溶液で、濃度差があると 水は濃度が高い側へ自然に移動します。
この時、水を動かす“押し出す力”のことを 浸透圧 と言います。
浸透圧は次の式でも表せます(バンホッフの式:高校化学範囲)
π = i M R T
π:浸透圧
i:ファントホッフ係数
M:モル濃度
R:気体定数
T:温度(絶対温度)
濃度が高いほど浸透圧は大きくなります。
生活での例
- きゅうりの浅漬けに塩をまぶすと水が出る → 外が濃い → 水が外へ流れる
- スポーツドリンクは体液に近い濃度 → 吸収が速い
- 点滴 → 血液より濃度が高いと危険(血球が縮む)・低いと血球が破れる
- 乾燥剤(塩化カルシウム)が水を吸う理由も浸透圧の影響が大きい
高校生の生活の中に、実は浸透圧現象はたくさんあります。
大学入試でのポイント
- 半透膜と濃度差という構造を理解しているか
- バンホッフの式を濃度と温度で扱えるか
- 濃度差と水の流れる方向を説明させる記述が多い
- 生物・物理・化学、どの試験でも出題される
共通テストでも頻出テーマ。
「細胞内の水の出入り」「高張液/低張液」などの比較はほぼ鉄板。
実際に出題された:浸透圧の大学入試問題例
① 東京大学(2019年度 前期 理科・化学より)
問題内容(要約)
ある高分子の水溶液について、浸透圧を測定し、温度とモル濃度の関係を調べた。
浸透圧の測定結果から、分子量を求めよ。
また、温度が変化した場合の浸透圧の変化について説明せよ。
ポイント:何を問うている?
- π = M R T の利用
- 浸透圧は温度に比例する
- 高分子は「molあたりの重さ」が大きいので、浸透圧から分子量推定ができる
→「浸透圧測定で分子量決定」=東大化学では超定番
② 慶應大学(薬学 2022年度)
問題内容(要約)
細胞を NaClの溶液に浸したとき、細胞が膨張、破裂する条件を、浸透圧の観点から説明させる。
また、0.1 mol/LのNaCl溶液の浸透圧を25℃で求めよ。
ポイント:
- 生物×化学統合問題
- バンホッフの式
- i=2( Na+ と Cl- ) にすることをちゃんと考えられるかが決定打
③ 共通テスト「生物基礎 2023年度」
問題内容(要約)
赤血球を「高張液」「等張液」「低張液」に入れた際の細胞体積の変化を、グラフと語句の対応で答える問題。
ポイント:
- 定性的理解重視
- πの式を直接計算はさせないが、概念理解の確認
④ 名古屋大学(2017年度 理系・化学)
問題内容(要約)
浸透圧測定実験のデータを示して、グラフからvan’t Hoff係数 i や溶質の解離度を求める。
ポイント:
- 浸透圧だけでは終わらない
- 「電解質の解離」まで結び付けさせる、大学らしい深掘り
まとめ
- 浸透圧は「水を引っ張る力」
- 濃度が高いほど浸透圧は大きい
- 食品保存、点滴、体の水分移動など日常に深く関係
- 大学入試でも記述・計算両方で出題されやすい



