なぜSNSを見ると自己肯定感が下がるのか?比較と嫉妬の心理とは

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「あ、まただ…」

スマートフォンの画面をスクロールする指が、ふと止まる。友人が投稿した、きらびやかなレストランでのディナー。同僚がシェアした、海外旅行の息をのむような絶景。後輩が報告する、大きなプロジェクトの成功。

画面の中は、誰もが幸せで、充実していて、輝いているように見える。それに比べて、自分は…?

パジャマ姿のまま、特に代わり映えのしない部屋で、ただ画面を眺めている自分。なんだか自分の人生だけが色あせて、つまらないものに感じてしまう。そして、胸の奥にずしりと重い何かが沈んでいく。

あなたも、こんな経験はありませんか?

SNSは、遠くの友人とつながり、新しい情報を得て、世界を広げてくれる素晴らしいツールです。しかし、その一方で、私たちの心を静かに蝕み、自己肯定感をじわじわと削り取っていく「毒」にもなり得ます。

なぜ、私たちはSNSを見ると落ち込んでしまうのでしょうか? なぜ、他人の幸せを素直に喜べず、焦りや劣等感を抱いてしまうのでしょうか?

この記事では、その心理的なメカニズムを「比較」と「嫉妬」というキーワードから徹底的に解き明かし、SNSの渦に飲み込まれず、自分らしく健やかに生きるための具体的な処方箋を提案します。これは、あなただけの悩みではありません。多くの人が抱える、現代の心の課題なのです。

第1章:キラキラの裏側にある「社会的比較」という名のワナ

私たちがSNSで自己肯定感を失う最大の原因。それは、心理学で「社会的比較(Social Comparison)」と呼ばれる心の働きにあります。

これは、1954年に心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した理論で、「人は、自分の能力や意見の正しさを評価するために、他人と自分を比較する傾向がある」というものです。この比較には、大きく分けて2つの種類があります。

  1. 上方比較(Upward Social Comparison)
    自分よりも優れている(と見える)人と自分を比べること。例えば、「自分より仕事ができる同僚」「自分より容姿が美しい友人」「自分より裕福な知人」などです。適度な上方比較は「自分もああなりたい」という目標やモチベーションにつながることもありますが、SNSの世界ではこれが暴走しがちです。
  2. 下方比較(Downward Social Comparison)
    自分よりも劣っている(と見える)人と自分を比べること。これによって、「自分はまだマシだ」と一時的な安心感や優越感を得ることができます。

問題は、SNSが「極端な上方比較」を 極限無く誘発する環境である、という点です。

考えてみてください。あなたがSNSに投稿するのは、どんな瞬間ですか?
おそらく、人生で最も楽しかった旅行、美味しかった食事、うまくいった仕事、褒められた出来事など、「最高の瞬間」を切り取って投稿しているはずです。誰も、上司に叱られて落ち込んでいる姿や、恋人と喧嘩して泣いている夜、将来に不安を感じて眠れない夜をわざわざ投稿したりはしません。

つまり、SNSのタイムラインに流れてくるのは、他人の人生の「ハイライトリール(傑作選)」なのです。

私たちは、その編集され、美化された「他人のハイライトリール」と、自分の悩みも退屈な時間もすべて含んだ「自分の舞台裏の日常」を無意識に比べてしまう。これは、映画の予告編だけを見て、自分の全編ドキュメンタリーと比較するようなものです。あまりにも不公平で、勝ち目のない戦いだとは思いませんか?

【みんなの声】「友達が続々と結婚したり、マイホームを購入したりする投稿を見ると、正直焦ります。『おめでとう!』ってコメントしながらも、心の中では『自分だけが取り残されてる…』って。自分のペースでいいはずなのに、どうしても比べてしまうんです」(30代・女性・会社員)

「他のフリーランスの人が、輝かしい実績をSNSで報告しているのを見ると、自分の仕事がすごくちっぽけに感じてしまいます。自分はちゃんと価値を提供できているんだろうか、このままでいいんだろうかって、一気に不安になる」(20代・男性・フリーランス)

この不公平な比較ゲームを続ける限り、私たちの自己肯定感は削られる一方。自分にないものばかりが目につき、「自分はダメだ」という無力感に苛まれてしまうのです。

第2章:比較が生み出す黒い感情「嫉妬」の正体

社会的比較によって引き起こされる、最も厄介な感情。それが「嫉妬」です。

嫉妬とは、「自分が持っておらず、相手が持っている」と認識したものに対して抱く、ネガティブな感情のこと。それは富や名声、才能、容姿、人間関係など、あらゆるものに向けられます。

SNSは、この嫉妬という感情を刺激するのに、これ以上ないほど最適なプラットフォームです。他人の成功や幸福が、これでもかというほど可視化されているからです。

ここで重要なのは、嫉妬には2つの側面があるということです。

  • 良性の嫉妬(Benign Envy):「羨望」とも呼ばれます。「あの人みたいになりたい」「自分もあれを手に入れるために頑張ろう」という、自己成長のモチベーションにつながるポジティブな感情です。
  • 悪性の嫉妬(Malicious Envy):「妬み」や「嫉み」に近いです。「相手が持っているものを、自分が手に入れられないなら、いっそ相手がそれを失えばいい」という、他者への攻撃性や破壊的な欲求を伴うネガティブな感情です。

SNS上で私たちが感じやすいのは、残念ながら後者の「悪性の嫉妬」に傾きがちです。なぜなら、投稿からは相手の努力や苦労、背景といったプロセスが見えにくいから。結果だけがキラキラと輝いて見えるため、「あの人は楽して手に入れたに違いない」「運が良かっただけだ」と、相手の成功を不当なものだと解釈しやすくなるのです。

【みんなの声】「正直に言うと、すごく『いいね』がついてる投稿を見ると、なんでこの投稿が?って思ってしまう自分がいます。素直に祝福できない自分が嫌で、さらに自己嫌悪に陥る悪循環です」(20代・女性・学生)

「自分より楽しそうな生活をしている人を見ると、イラッとすることさえあります。その人の投稿に粗探しをして、『でも、この人は〇〇がダメそうだ』とか心の中でケチをつけて、なんとか自分の心の平穏を保とうとしてしまう。本当に性格が悪いなと思います…」(30代・男性・公務員)

嫉妬は、人間としてごく自然な感情です。決して、あなたが意地悪なわけではありません。しかし、この黒い感情に飲み込まれてしまうと、他人の幸せを喜べなくなるだけでなく、自分自身の心をすり減らし、どんどん不幸にしてしまいます。

テレビ番組「大下容子ワイドスクランブル」「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系列)で紹介されました!

第3章:SNSの沼から抜け出すための5つの心の処方箋

では、私たちはこの「比較」と「嫉妬」の無限ループから、どうすれば抜け出すことができるのでしょうか? SNSを断ち切るのが一番かもしれませんが、現代社会でそれは非現実的です。

大切なのは、SNSに振り回されるのではなく、自分が主人となって賢く付き合うこと。そのための、今日から実践できる5つの心の処方箋をご紹介します。

まず、SNSを見る際の心構えを根本から変えましょう。タイムラインに流れてくる投稿の一つひとつに、心の中で「※これは、〇〇さんの人生のハイライトリールです」「※編集・加工済みの映像です」という注釈を入れてみてください。

キラキラした投稿の裏には、見えない悩みや努力、退屈な日常が必ず存在します。その「見えていない部分」を想像するクセをつけるだけで、投稿を客観的に捉えられるようになり、自分と比較して落ち込むことが格段に減ります。

心が疲れていると感じたら、物理的にSNSから距離を置きましょう。

  • 時間を決める:「朝起きてすぐ」と「夜寝る前」は見ない、と決めるだけでも効果絶大です。特に就寝前は、情報過多で脳が興奮し、睡眠の質を下げてしまいます。
  • 通知をオフにする:「いいね」やコメントの通知に一喜一憂していませんか? 通知をオフにすれば、自分のタイミングでSNSを開くことができ、受け身の状態から抜け出せます。
  • 週末だけアプリを消す:思い切って、金曜の夜にアプリをアンインストールし、月曜の朝に再インストールする「週末デトックス」もおすすめです。SNSのない週末が、いかに心穏やかで、時間に満ちているかに驚くはずです。

自己肯定感を育む上で最も重要なのは、「他人のモノサシ」ではなく「自分のモノサシ」で自分を測ることです。

他人の成功を追いかけるのをやめ、「昨日の自分より、今日の自分は少しでも成長できたか?」という視点に切り替えてみましょう。

  • 日記や手帳をつける:今日できたこと、学んだこと、感じたことを3行でもいいので書き留める。
  • 小さな目標を立てる:「今日は15分ウォーキングする」「本を10ページ読む」など、ごく小さな目標を立ててクリアしていく。

この「小さな成功体験」の積み重ねが、「自分はちゃんと前に進んでいる」という確かな自信となり、他人の動向に一喜一憂しない、しなやかで強い心を育ててくれます。

SNSは「自分にないもの」を教えてくれますが、それでは心は満たされません。意識的に、「自分がすでに持っているもの」に目を向ける時間を作りましょう。

おすすめは「感謝ジャーナル」です。夜寝る前に、今日感謝したいことを3つ書き出すだけ。

  • 「美味しいコーヒーが飲めた」
  • 「友人が優しい言葉をかけてくれた」
  • 「健康で一日を過ごせた」

どんな些細なことでも構いません。自分の周りにある幸せを再確認することで、比較地獄から抜け出し、満たされた心で一日を終えることができます。

SNS上の「いいね」の数やフォロワーの数で、あなたの価値は決まりません。本当にあなたを支え、心を温めてくれるのは、リアルな人間関係です。

SNSを眺める時間を少しだけ減らして、その時間を大切な人のために使ってみませんか?

  • 友人に電話をかけてみる
  • 家族と食卓を囲んで、今日あった出来事を話す
  • パートナーとゆっくり散歩する

画面越しの希薄なつながりを100個集めるよりも、たった一つの温かいリアルなコミュニケーションの方が、私たちの心に何倍もの幸福感と安心感を与えてくれます。

おわりに:あなたの価値は、あなたが決める

SNSは、私たちの生活に深く根付いた、便利なツールです。しかし、その光が強ければ強いほど、濃い影もまた生まれます。

大切なのは、SNSに心を支配されるのではなく、あなたがあなた自身の人生の主導権を握り続けること。他人のハイライトリールに惑わされず、あなた自身のユニークで、かけがえのない物語を、一歩一歩、丁寧に紡いでいくことです。

もし、SNSを見て心がざわついたら、この記事を思い出してください。そして、そっとスマートフォンを置き、窓の外の空を眺めたり、温かいお茶を淹れたり、大切な人の顔を思い浮かべたりしてみてください。

あなたの価値は、SNSの「いいね」の数では絶対に測れません。

あなたの価値は、あなたがこれまで生きてきた日々と、これから生きていく未来そのものにあるのです。

テレビ番組「大下容子ワイドスクランブル」「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系列)で紹介されました!

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